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- 「仕事を奪うAIのために働いている」という従業員たちの懸念は正しいのか

- 「職場でAIを使うことで、最終的には、自分に取って代わるテクノロジーの後押しをしているのではないか」との不安が、働き手の間で広がっている。
- AIに投資する企業は効率を向上させたいと考えており、一部にはこのテクノロジーを、人員削減の口実に使っている会社もある。
- ある職場環境アナリストは、「近い将来、AIは人間の役職に取って代わることはなく、むしろ大半の役職の性質を変えるだろう」と予測している。
キャリア教育プラットフォーム「AdviceWithErin」を創設・運営しているエリン・マクゴフ(Erin McGoff)は現在、働き手たちから、ある懸念を繰り返し聞かされている。それは、「AI(人工知能)によって、自分の仕事が危機にさらされるのではないか」ということだ。
「『毎日、自分に取って代わる相手をトレーニングしているように感じる』という不安を口にする人々を見かける」とマクゴフは語る。
2026年3月に発表された調査でも、対象となったアメリカ人の30%が、自身の仕事がAIによって不要になる可能性があると考えていることが判明した。一方で、AIが就職市場にもたらす影響を理由に、大学での専攻科目を変える大学生も増えてきている。
こうした不安は、根拠のないものではない。さまざまな企業が、効率性向上のために、数十億ドル単位の資金をAIに注ぎ込んでいる。現在賃金を払って人間にやらせている仕事をAIに任せれば、企業は人件費を削減できるはずだからだ。実際、人間の働き手をAIに置き換えた成果を話題にする企業もすでに出てきている。
金融大手のBNY(バンク・オブ・ニューヨーク・メロン)をはじめとするいくかの企業は、「デジタル従業員」を採用し、ルーティン業務を担わせようとしている。BNYはその目標について、人間の従業員を煩雑な業務から解放して、他のタスクを担当してもらうためであり、決して人間をAIで置き換えるつもりはないと言明している。
AIの能力が増す中で、人間の働き手が、「今AIを使い、その結果としてAIの能力向上を後押しすれば、のちに自分たちの職が危うくなるのではないか」と心配するとしても驚きではない。しかし、Business Insiderがマクゴフをはじめとする職場環境ウォッチャーに話を聞いたところでは、「AIを導入した結果として、AIを人間に代える」という1対1の単純な置き換えが発生する可能性は低そうだ。
なぜかと言えば、仕事には、複数のタスクの間でバランスを取り、曖昧さに対処し、判断を下すという要素がつきものだからだ。そのため、AIが人間の働き手の仕事ぶりを観察するだけでは、人間を押しのけるのは容易ではなさそうだ。
「ほぼあらゆる分野で、そこ(AIが人間を押しのける状態)に近づくレベルには至っていない」と指摘するのは、フォレスター・リサーチのバイスプレジデントで首席アナリストのJ.P.ガウンダー(JP Gownder)だ。
マクゴフも先日、「AIをトレーニングすることで自分の仕事を取られるのではないか」と心配している人と話をしたが、よく話を聞いてみると、その人はプロダクトマネージャーとして働いていることがわかったという。そこで彼女は「『なるほど、クライアントに対応するお仕事なのですね。それなら、AIは近いうちにあなたの仕事を奪うことはないでしょう』と応じた」という。
「AIに仕事を奪われる」という懸念が消えない理由
企業の最高経営責任者(CEO)の中では、レイオフの理由としてAIを引き合いに出す者が増えている。だが、こうした人員削減や採用抑制は多くの場合、AIよりもむしろ、コロナ禍の時期の過剰採用や、金利の上昇、経済の不透明感による部分が大きいと、フォレスターのガウンダーは指摘する。
「これは作り話だ。(AIを人減らしの口実にする)AIウォッシングだ」と、ガウンダーは断じた。
ガウンダーによれば、自社や投資家によるAIへの巨額投資を正当化する手段として、「企業は、多くの労働力を(AIと)置き換えなければならないという論理に縛られている」という。だが実際には、AIはそれほど多くの職を奪うことはできそうにないケースもある。同時に、企業が試用しているAIシステムの多くには、人間の働き手の仕事ぶりを観察するだけで仕事をマスターする能力はないとガウンダーは指摘する。
一方、『Uberland ウーバーランド ―アルゴリズムはいかに働き方を変えているか』(邦訳:青土社刊)という著書がある社会学者のアレックス・ローゼンブラット(Alex Rosenblat)は、一部の働き手の立場から見ると、こうした不安感は、より根深い恐れから生まれている部分もあると語る。AIの能力が上がれば、自分たちに支払われている給与の額を正当化するのが難しくなるのではないかという懸念だ。
「人間である自分がやっていることと、マシンがやっていることの境界線がここまで曖昧になってくると、給与交渉は難しくなる」とローゼンブラットは指摘する。
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