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- 食品会社17年「コンサルは別世界」と思っていた私が、なぜアクセンチュアにマネジャーとして転職したのか
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「コンサルタントは、若いうちになるもの」「事業会社※出身者には難しい」──そんな先入観が、キャリアの可能性を思いのほか狭めているかもしれない。
新卒から17年半、食品会社一筋でキャリアを積んできた小林厚志(こばやし・あつし)さんが、「以前はまったく選択肢になかった」という総合コンサルティングファーム・アクセンチュアに事業会社からマネジャーとして入社したのは2024年のこと。
コンサル業界未経験ながら、大手食品メーカーのDX推進や住宅メーカーの戦略策定プロジェクトなどを現場責任者として牽引している。
「事業会社とコンサルファームでは、案件への向き合い方も、上司と部下の関係性も根本的に違う」と語る小林さんは、未経験の壁をどう乗り越え、マインドセットを切り替えてきたのか。成長に伴走する上司の鬼頭慶多(きとう・けいた)さんとともに、事業会社出身者による“コンサル転身のリアル”を聞いた。
※本記事における「事業会社」とは、コンサルティング会社ではなく、自社で製品やサービスを提供している企業を指します。
「専門性がない」ことへの漠然とした不安

新卒で入社した事業会社で営業や海外事業、マーケティング、そして経営企画と幅広い業務を経験してきた小林さんは、30代半ばを迎え、「自分には際立った専門性がない」という漠然とした不安を抱くようになったという。
経営企画として事業の構造改革や中長期戦略の策定に携わる中で、「そもそも事業の目指す姿をどのように定めるべきなのか、どのような考え方や手順で戦略を決定すべきなのか。他社や他業界の最適な進め方をもっと知りたい」と考えるようになり、経営領域の専門性を高めるためにコンサルタントへの転身を決意した。
しかし、いざ転職を考えると大きな不安もあった。
「特に感じていたのが、スキル面での懸念です。コンサルといえば、ロジカルシンキングや専門的なフレームワークなどを自在に使いこなす“スーパーマン”のイメージでした。
私もビジネス書や実務を通じて、教養としてはある程度学んできましたが、それを日常的に活用しながらビジネスとして価値を発揮する人たちのレベルについていけるのかという不安がありました」(小林さん)
選考時のケース面接では、限られた時間の中で架空企業の経営課題に対する解決策を導き出し、面接官と活発な議論ができたという。これまでの事業会社での幅広い経験が、経営課題解決の仕事に活かせるという手応えを感じ、入社を決めた。
しかし、実際に働き始めて直面したのは、前職との“想像以上のギャップ”だったという。
「求められる業務の幅や責任範囲の広さ・重さが、大きく異なりました。前職では、上司の承認を得ながら、ある程度定められたやり方で業務を進めることが基本でした。
しかし、アクセンチュアのマネジャー職では、プロジェクトの進め方そのものを自分で考え、意思決定していく必要があります。見るべきこと、考えるべきこと、負うべき責任の範囲が5倍、10倍に広がった感覚があり、最初は戸惑いました」(小林さん)
「仮説なきコンサルはコンサルタントにあらず」マインドセットを変えた上司の一言

そんな小林さんに、コンサルタントとしてのスタンスを伝えたのが、“上司”にあたる鬼頭さんだ。
「初めて一緒に仕事をしたオンラインミーティングの初日のことです。開始30秒、鬼頭さんから『仮説がないコンサルは、コンサルタントじゃない』と言われたんです。すごくドキッとして、その言葉は今でもずっと覚えています」(小林さん)
鬼頭さんは、その真意をこう語る。
「中途入社の方にコンサルタントとしての振る舞いを伝える時、ただ『こう行動してください』と言ってもなかなかピンときません。
私が伝えたかったのは、これまでの事業会社での向き合い方を否定することではなく、その強みを活かしつつ“時間価値”をより強く意識するスタンスにギアを上げてもらうことです。
コンサルタントは、限られた時間の中でどれだけお客様の成果に直結する価値を提供できるかが問われます。だからこそ、その前提となる意識を最初から持ってもらいたかったのです 」(鬼頭さん)
この"洗礼"を受け、小林さんは仕事の進め方を見直すようになる。担当した案件で、未経験ゆえにどこから手をつければいいか分からずスピードが落ちそうになった時は、自身がどこで、なぜつまずいているのかを言語化し、周囲にアドバイスを求めることを意識した。
「マネジャーということもあり、まずは何でも自分一人で解決しなければならないような気になってしまいますが、結果的にそれで論点がズレたりスピードが遅くなるようでは、本末転倒です。
入社したばかりのころは、資料作成一つをとっても、何を盛り込むべきかのイメージが描けず、手が止まってしまうときがありました。
鬼頭さんに相談すると『まずは何に答えを出すべきか、論点を整理しましょう。論点が定まったら、現時点での仮の答えを置く。その上で、必要な情報を集めていきましょう』と具体的なアドバイスをくれました。結果として、先の見通しを持って動くことができました」(小林さん)
アクセンチュアでは上司は「斜め上のアドバイザー」
アクセンチュアでの上司部下の関係について、小林さんは以下のように話す。
「前職(事業会社)では上司と『縦の関係』でしたが、アクセンチュアでは『斜め上の関係』のイメージ。自分が持っていない視点や視座からのアドバイスをくれる存在で、それを受けてどう判断するか、最終的な責任を負うのは自分自身です。
適宜、周りの皆さんに力は貸してもらいつつも、最終的には一人のコンサルタントとしてのアウトプットは自分自身で責任を負うことを常に意識しています」(小林さん)

小林さんは、現在のアクセンチュアの環境を「組織というプラットフォームの中に、個人事業主がたくさんいる感覚」と表現する。
「特定の事業全体を任されている感覚で、仕事に対して強いオーナーシップを持てるようになったことも、以前との違いです。
最初は重圧も感じましたが、今ではその面白さややりがいを感じられるようになりました」(小林さん)
加えて同社では、プロジェクト上の上司とは別にキャリア全般の相談にのりながら社員の成長を支援する「ピープルリード」という制度も整備されている。こうした仕組みと文化のもと、小林さんはコンサル業務に必要なスキルと知見の多くを、実務を通じて着実にキャッチアップしてきたのだ。
表面的な課題解決で終わらせない。コンサルの“真髄”

日々プロジェクトに奔走する中で、小林さんが時折立ち返るもう一つの言葉がある。それが、鬼頭さんから伝えられた「魂を込めてストーリーを紡ぐ」という仕事への向き合い方だ。
つい最近手掛けた、企業の戦略構築プロジェクトでも、象徴的な出来事があったという。
小林さんがクライアントからヒアリングした業務課題を論理的に整理し、解決策を提示しようとした際のことだ。鬼頭さんはそれを「内容としては正しい」と認めつつも、さらに高い視座を求めた。
それは、「なぜそれをやる必要があるのか」「その先にどんな世界があるのか」という変革の価値をストーリーで伝えることだった。
「表面的な業務課題の裏には、その部署が置かれた社内文化的な冷遇や経営層に対する現場のモヤモヤといった、根深い『組織の力学』が潜んでいます。
コンサルタントの仕事は、現場の声を代弁し、経営陣や当事者たちの心を動かすメッセージを打ち出すことでもある、と教えられました。コンサルタントはお客様に“未来を見せる仕事”なんだ、と」(小林さん)
そこで活きるのが、小林さんが事業会社で長年培ってきた現場での経験だ。
1社での深い実務経験という確かな「比較軸」があるからこそ、クライアントの真の課題を解像度高く捉えることができる。
小林さんは、「お客様の課題を整理していくうちに、いま私たちが対面している部署の問題だけではない、全社に関わる課題が見えてくることもよくあります」と話す。
当然、ステークホルダーが増えれば増えるほど社内政治の難しさも生じる。机上の空論だけではなく、クライアントが実際に感じるあらゆる障壁を肌感覚で理解しているからこそ、単なる"絵に描いた餅"ではない、現場で生きる提案ができるのだ。
「AIの台頭で変化スピードが加速するいま、戦略策定にとどまらず、スピーディに“現場実装までやり切れるかどうか”が、コンサルタントの価値を左右する時代になっています。
組織の力学を理解し、着実に実行に移せる事業会社出身者が、コンサル業界で多く活躍している理由もそこにあります」(鬼頭さん)
“未経験”を過度に不安視する必要はない

小林さんが今後力を入れていきたいと話すのが、AIをはじめとする先端テクノロジーの活用だ。アクセンチュアには豊富な知見とリソースが蓄積されており、それらを実務の中で活用しながら、自身の専門性もさらに高めていきたいと話す。
「目指しているのは、一つのお客様企業を責任者として担当する『クライアントアカウントリード』というポジションです。社内には海外を含めてたくさんのスペシャリストがいるので、協業しながら現場に根ざした提案を続けていきたいですね」(小林さん)
最後に、コンサル未経験で新たな一歩を踏み出すことを迷っているビジネスパーソンに向けて、二人はこうエールを送る。
「目の前の仕事に真摯に向き合い、お客様の課題を全力で解決したいと願うこと。そして、自分のやり方がうまくいかなければ、素直に自らを変えていく力。
事業会社で長年もがき培ってきたその『仕事への本質的な向き合い方』は、コンサルタントになっても変わらず活きます。
未経験であることを、過度に不安視する必要はありません。大きな成果を生み出しながら成長していきたいと考える方には、挑戦する価値のある環境だと思います」(小林さん)

「アクセンチュアは、毎年新たな企業を買収するなど事業領域を広げ、サービスを増やし続けてきました。社会の動きの最前線に身を置き、グローバルの知見も活用しながら、大きな規模感でお客様や社会にインパクトを与えられる面白さがあります。
常に成長の機会があり、知的好奇心が刺激され続けるこの環境は、新たな挑戦を求める方にフィットするはずです」(鬼頭さん)
事業会社で積み重ねた時間と試行錯誤を、コンサルティングの現場で、よりダイナミックな価値創出と自身の成長につなげていく──。そんなキャリアの選択肢もあることを、ぜひ心に留めておいてほしい。
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