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現代の作家たちが語る「日本」
企業ブランドに飛びつくな。『ハゲタカ』作者・真山仁が語るキャリア論
企業買収の攻防をスリリングに描き、経済小説の金字塔となった『ハゲタカ』。
20年以上にわたり、徹底的な取材をベースに『ハゲタカ』シリーズほか多岐にわたるテーマで作品を発表し続け、停滞する日本経済の現実を直視し続けてきた小説家・真山仁さん。そんな真山さんは「これからの日本」を担う若い世代にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけるのだろうか。

1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年に企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。2007年、『ハゲタカ』『ハゲタカ2』を原作としたNHK土曜ドラマが大きな話題を呼んだ。2026年2月には、台湾にある世界トップのシェアを持つ架空のファウンドリの買収をテーマに、半導体産業の開発競争をめぐる国を超えた争いを詳細に描いたシリーズ最新刊『チップス ハゲタカ6』を発売した。
企業の名前より「何になりたいか」

—— 新たな環境で働き始めた人も多い時期です。新社会人や就活生を含め、進路に悩む若い世代にアドバイスをお願いします。
毎年、「就職先人気ランキング」などが発表されますが、1990年代と比べて、人気の日系企業の顔ぶれは、多少の入れ替えはあるものの、ブランド志向は変わっていません。いつの時代も、就活生には企業のブランドがキラキラ光って見えるのでしょう。
でも社会に出て働き始めると分かりますが、大企業とは「個を殺す努力のできる人がたくさんいる企業」です。一部の天才社員だけに特権が与えられ、残りの大多数の社員は全員“歯車”であることに徹する。これが大企業の基本ルールです。
にもかかわらず、「知名度がある方がかっこいい」とか「ちょっとモテるかも」と、そのブランド力に飛びついてしまう。そのような選択を否定はしませんが、企業のブランドがどんどん通用しなくなってきているのは、今や明らかだと思います。
一番大事なのは「どの企業に行きたいか」じゃなく、「あなたが何になりたいか」ということです。
小説家になる手段として「就職」した

「人生を通して、最終的に何ができたら幸せですか?」と質問すると、答えられない人が多いのではないでしょうか。でも、「何がしたいのか」そのために「何になりたいのか」が分からなければ、何を武器として身につけるべきかも分かりません。
私は高校1年生のときから小説家になりたいと思っていました。もっとも、親に反対されたので、「新聞記者になる」と胡麻化していましたが。
私が好きな小説家、例えば山崎豊子や、フレデリック・フォーサイス、ブライアン・フリーマントルは、ジャーナリスト出身です。現実に起きていることを取材し、エンターテインメント小説にしてわかりやすく読者に伝えるためには、取材力と文章力、人脈が必要です。
私はまず記者になり、その3つの力を磨いて、その上で小説家デビューすると決めました。つまり、目標達成の手段として、記者という職業を選んだんです。
結局、新卒で入った新聞社は2年半で退社して、その後はフリーランスのライターとして13年間働きました。フリーランス時代は、経済記事ではなく、エンタメ系の広告原稿を書いていました。広告原稿は、たとえ退屈だと感じるライブであっても、人気がなくて売れ行きの鈍いお芝居であっても、「売れるように」書かなければなりません。


























