






















【6月18日 CNS】今年3月、中国国家データ局はToken(トークン)の中国語訳を正式に「詞元(Ci Yuan)」と定めた。詞元とは、大規模言語モデルが情報を処理する際の最小単位を指す。AIを使って情報検索やコンテンツ制作を行うたびに詞元が消費されるため、詞元はAI時代における価値の基準であり、技術供給と市場需要を結ぶ「決済単位」ともいえる。
中国政府が「詞元」という訳語を正式採用したことは、トークン経済の将来性の大きさを示している。一般的に、中国語の漢字1文字は1~2トークン、英単語1語は1トークンに相当する。一方、AIツールで1分程度の動画を生成する場合、100万トークン以上を消費し、費用は50~60元(約1182~1418円)程度になる。
最近、中国の通信大手3社は相次いでトークンプランを打ち出している。例えば、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム、China Unicom)上海支社は、上海市で増加する「一人会社(OPC、One Person Company)」によるトークン利用需要に対応するため、「Token+AIクラウドデスクトップ+Uniclaw(中国聯通が開発した自律型AIエージェントプラットフォーム)」のパッケージを提供するとともに、一人会社向けの割引トークンプランを導入した。利用者は100万トークン当たり最低1元から利用でき、起業コストの削減や迅速な事業立ち上げを支援する。
ここ2年で、中国のトークン利用量は急増している。2024年初めには1日当たり1000億トークンだった利用量は、2026年3月には140兆トークンを超え、2年間で1000倍以上に拡大した。中国は現在、「計算力ネットワーク」の整備を進めており、将来的には計算資源を集中供給・統合運用することで、水道や電気のように安価なトークン利用を実現し、誰もが手軽にAIを活用できる社会を目指している。
世界的に見ても、AIは単なる生産ツールから生産要素へと変化しつつあり、利用シーンも急速に広がっている。トークンはAI産業を支える重要な基盤インフラであり、その供給力はAIの競争力を左右する。
今年3月、エヌビディア(Nvidia)の黄仁勳(Jensen Jen-Hsun Huang)氏は、2026年GTCでの講演で「トークンはAI時代の新たなコモディティであり、新しい通貨でもある。企業競争力を測る重要な指標だ」と述べた。
特に今年に入り、AIエージェントツール「OpenClaw」が注目を集めたことを受け、世界のAIプラットフォーム各社も類似サービスを相次いで投入し、トークン利用量は爆発的に増加している。大規模モデルAPI集約プラットフォーム「OpenRouter」の最新データによると、5月18日から24日までの世界全体のAI大規模モデル利用量は28兆9000億トークンに達した。このうち、利用量上位3モデルのうち2つを中国製モデルが占めている。
今年に入ってからは、トークン需要の急増に加え、ハードウエアコストの上昇も重なり、阿里雲智能(アリババ・クラウド、Alibaba Cloud)、百度智能雲、騰訊雲(テンセントクラウド、Tencent Cloud)など中国の主要クラウド事業者は、AI計算資源関連サービスの価格を相次いで引き上げた。値上げ幅は概ね30%前後となっている。
それでも、中国製大規模モデルは依然として高いコストパフォーマンスを持ち、多くの海外AI開発者から支持を集めている。世界トップクラスのモデルと比べると、中国製モデルのトークン単価は10分の1以下の場合もある。また、中国の大規模モデルは技術面でも急速に進歩しており、主要な性能指標において米国勢との差は徐々に縮まりつつある。
中国国家データ局が今年発表した「デジタル中国発展報告(2025年)」によると、中国は世界最大のAI特許保有国となり、世界全体の60%を占めている。
一方で、トークン経済は新たな成長分野として期待されているものの、まだ発展初期の段階にある。関連する産業基盤や制度整備には課題も多い。例えば、トークンの計測方法や価格設定、決済方式には統一基準がなく、開発者向けエコシステムやツールチェーンも十分とは言えない。また、AI利用の拡大に伴うデータセキュリティや個人情報保護、さらには越境データ流通に関する法規制への対応なども、今後解決していくべき課題となっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News
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