


























【6月15日 CNS】中国・浙江省(Zhejiang)義烏市(Yiwu)の義烏国際商貿城には、6万店を超える店舗と200万種類以上の商品が集まり、「世界のスーパーマーケット」と呼ばれる独特の風景をつくり出している。だが今、この場所では静かな変化が起きている。商人たちは商品を梱包して出荷するだけでなく、人工知能(AI)ツールを使って多言語動画を作成し、新商品をデザインし、世界の顧客とつながり始めている。「AI+商取引」をめぐる新たな物語が、この「世界の雑貨市場」で始まっている。
クリエーティブ文具を扱うある商店では、以前なら「米国の新学期商戦」を狙うために、流行調査、パッケージデザイン、商品動画の撮影に数週間を要していた。今では、「世界義烏」商取引大規模モデルの「AI商品デザイン」機能を開き、「2026年米国新学期シーズンの流行色」と入力するだけで、システムが過去の取引データや海外SNSの話題を組み合わせ、複数のパッケージ案を自動生成する。デザインから最終決定まで、3日で完了できるという。続いて「AIショート動画生成」機能を使えば、商品紹介を英語、スペイン語、アラビア語など15言語の販売動画に一括変換し、ティックトック(TikTok)やインスタグラム(Instagram)に直接配信できる。コンテンツ制作費だけで2万元(約46万9574円)を節約できた。
現地が構築したデジタル貿易サービスプラットフォーム「Chinagoods」によると、中国初の商取引データ流通サービスを活用し、データによる貿易高度化を実現している。義烏の商品データ流通サービスセンターには、200以上の国・地域の17万5000社のバイヤー情報が集まり、商人の効率的な顧客開拓を支えている。
AIは、対面型の貿易の形も変えている。義烏品促会の程傑波(Cheng Jiebo)執行会長によると、「Yiwu Selection」ブランド集合店プロジェクトでは、ある文化グッズ企業のクリエーティブ文具について、AIが英語、スペイン語、フランス語など多言語の字幕と音声を自動生成し、海外SNS向けの宣伝素材へ素早く転換した。程氏は「この技術は中小企業の越境マーケティングにおけるコンテンツ制作のハードルと時間コストを大きく下げ、より効率的で正確に世界の顧客とつながれるようにしている」と話す。
AIは「補助役」にとどまらず、それ自体が人気商品にもなっている。義烏の商人、成勝(Cheng Sheng)さんの店舗では、農業用ドローンが遠くオーストラリアから来た農場主の目を引いた。このドローンは45分間の自律飛行が可能で、農薬を精密に散布できるほか、山間部で物資を配送することもできる。「北方の林場では木材の運搬に使われ、山間部の農家レストランでは料理の配達にも使われています」と成さんは話す。
AIによる変化は、商品やマーケティングにとどまらない。より深い変化は、運営管理の面で起きている。ネイル用品を扱う「風尚美甲」の楊艶(Yang Yan)ディレクターによると、AI導入後、ネイルの新商品開発期間は数週間から3日に短縮され、1日に十数種類の新商品を出せるようになった。「オリジナリティーは失われず、コストはかなり下がりました」という。例えばケニアの顧客が仕入れに来た際、システムはまだ完全に自動で商品を組み合わせることはできないものの、仕入れ担当者が服飾や玩具など複数カテゴリーの商品をより素早く組み合わせる手助けをしている。
もちろん、新しい技術にはまだ不完全な部分もある。AIが翻訳した字幕には、時に機械翻訳らしさが残る。業界用語、ブランドのトーン、文化的な習慣といった細かな部分には、まだ人の確認が必要だ。それでも、こうした「成長の悩み」は、義烏の人びとの探究を止めるものではない。
現地政府は、基本機能の無料開放、「AIトレーニングキャンプ」の開催、先進事例づくりなどを通じて、6万を超える商店がデジタル格差を乗り越えられるよう支援している。今後、「義烏購」の大規模モデルは「スマート経営アシスタント」へとアップグレードされ、AIデジタルヒューマンによるライブ配信や、越境向けスマート接客など、より多くの場面での活用が進む見通しだ。
動画翻訳から商品デザイン、スマート機器からサプライチェーン連携まで、AIは義烏の貿易の仕組みを新たに書き換えつつある。200万種類以上の商品を持つ「世界のスーパーマーケット」は、新たな世界への旅を始めている。今回、その荷物の中に入っているのは雑貨だけではない。中国製造業が転換と高度化へ向かう知恵と勇気も詰め込まれている。(c)CNS/JCM/AFPBB News
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