























ディズニーが『スター・ウォーズ』の権利を手に入れてから、およそ14年。「続3部作」を含め、映画や配信ドラマ、アニメシリーズなどなど、新体制から様々な『スター・ウォーズ』シリーズが製作されてきた。だが大きな話題を集めながらも、作品としての評価が高いものは、残念ながら少ないのが現状だ。
そんな状況下において、数少ない成功作として支持を集めていたのが、ドラマシリーズ『マンダロリアン』である。『スター・ウォーズ』シリーズ中でもトップクラスの人気キャラクター、ボバ・フェットのように、ヘルメットで顔を隠した凄腕のバウンティハンター(賞金稼ぎ)、ディン・ジャリンこと“マンダロリアン”を主人公に、ヨーダと同じ種族の幼児とのあたたかい交流が熾烈な戦いとともに描かれ、好評を博した。
本作『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』は、そんなドラマシリーズの映画版である。ここでは、そんな本作の魅力や、内容への率直な印象を述べていきながら、一本の映画としての評価をしていきたい。
ドラマシリーズは、本作の監督でもあるジョン・ファヴロー、その後に現ルーカスフィルム社のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任するデイブ・フィローニを中心に、ロバート・ロドリゲス、ブライス・ダラス・ハワード、タイカ・ワイティティ、ペイトン・リード、ピーター・ラムジーなどの監督がエピソード演出を手がけている。グリーンバック合成ではなく、巨大ディスプレイを用いた「LEDウォール」を背景に俳優が演技をすることができる撮影システムも画期的だった。
『スター・ウォーズ』シリーズに多大な影響を与えた、マカロニ・ウェスタンや黒澤明監督の時代劇からの引用、さらには日本の劇画作品『子連れ狼』の要素もあるのが嬉しい。筆者のように、『スター・ウォーズ』シリーズと『子連れ狼』両方のファンとしては、これだけでも支持したくなってしまう。
ドラマシリーズのストーリーは、バウンティハンターであるマンダロリアンがさまざまな依頼を受け、刺客や同業者に命を狙われながら、小さなグローグーとともに銀河を巡るというもので、こうした趣向はまさに『子連れ狼』そのものだといえよう。映画版である本作もまた、そうしたドラマシリーズの内容をなぞるものとなっている。
本作は冒頭から快調だ。雪山で大小の“ウォーカー”を乗っ取りながら、瓦解した銀河帝国軍の残党を追いつめていく流れは、『スター・ウォーズ』のファンを喜ばせながらも、一つの活劇作品としてのシンプルな面白さを追求していることを感じさせる。まさに『マンダロリアン』シリーズの楽しみが、この短い一連のアクションにぎゅっと凝縮されているのだ。
その後、銀河帝国残党の重要人物をターゲットに、また宇宙空間に飛び出していく、マンダロリアンとグローグー。ジャバ・ザ・ハットの子どもロッタとの遭遇や戦闘、そして共闘などを経て、強大な悪と対峙することになる。とはいえドラマシリーズ続編が企画されている本シリーズだけに、ストーリーを本筋に戻さなくてはならない義務もある。つまりは、映画版である本作の冒頭のような一連の流れが、本編でもう一度長いかたちでおこなわれるのだ。
『スター・ウォーズ』エピソード4で登場したホログラムのチェスを再現したような、屈強なクリーチャーたちのバトルロイヤルや、ギャング映画やノワール風の演出、そして『子連れ狼』の「黒鍬衆」の見た目を思わせる、手強い同業者の再登場など、楽しい要素が随所に散りばめられているのも確かなことだ。なかでも、ストップモーションや人形を操演する演出は、 CG表現が当たり前のものとなった現代では、むしろ新鮮で感動すらおぼえるものがある。
そういう意味で本作は、『マンダロリアン』シリーズのとっかかりとして鑑賞することもできるし、『スター・ウォーズ』シリーズの入り口としても機能する一作だといえるだろう。『スター・ウォーズ』世界を振興する意味合いの一作であり、そもそもそうしたコンセプトを基に製作されたものだったのだろう。だから本作は、狙った通りの効果をあげた、クレバーで職人的な成功作であったと見て良いのではないか。
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